「3人の人間の遺伝物質を持つ赤ちゃん」が誕生する技術の研究が進んでいるという。

beby

科学技術情報サイト<Tech Insider>によると、応用遺伝学において3人の人間の遺伝物質を持つ赤ちゃんを生み出す技術が注目されているらしい。当然ながら赤ちゃんは2人(両親)の遺伝子を持って生まれてくるはずだが、一体どういうことなのか?

3人ぶんの遺伝物質を持った赤ちゃんは、もちろん3人でセックスすることで生まれるわけではなく、特別な医療措置によって誕生する。もし研究が成功すれば、人間の細胞内にあるミトコンドリアの働きの低下によって引き起こされる病気を総称する「ミトコンドリア病」に悩む患者を救える可能性があるという。

ミトコンドリアは、我々の生命維持活動のために細胞が使うエネルギーの約90%を生成している。そんなミトコンドリアの機能が低下した場合、細胞の働きも低下することになる。すると、物が見えにくい、音が聞こえないといった様々な症状が現れ、最悪の場合は生命にも関わるそうだ。

ミトコンドリア病は、母系遺伝で母親のミトコンドリアに由来するため、母親が持つ問題のあるミトコンドリアを取り除くことで防げる可能性が生まれると考えられる。実際、イギリスの研究グループが、問題のあるミトコンドリアを含む可能性がある受精卵500個以上を対象にして、ミトコンドリアの核に存在する遺伝物質を取り出し、別の女性の健康な卵子に移植する研究を行った。すると、5日後の受精卵は健康な状態を保ち、胎児の成長に影響を与える問題は見られないという結果が出た。さらに、胎児が持つミトコンドリア病のリスクが79%も減少したという。

英ニューカッスル大学・遺伝医学研究所のメアリー・ハーバート氏は、「我々が研究している技術によって、母親がミトコンドリアDNAにまつわる病気を子どもに受け継ぐリスクを減らせる可能性があるだろう」と語っている。

3人の人間の遺伝物質を持つ赤ちゃんの誕生は、研究者たちによって実現にかなり近づきつつあるようだ。現在はイギリスでのみ合法で認められている生殖技術らしく、アメリカの食品医薬品局ではこのアプローチにおける倫理について議論を呼んでいるとか。