現在、世界では12歳から35歳の若い世代の約10億人が、早期に難聴になる危険性があると言われている。それもそのはず、ヘッドホンやインナーイヤホンをつけて、大音量で音楽を聴いたりゲームをする=ダイレクトに鼓膜で聴くことが一般的になってしまっているからだ。

hyperspund

難聴と言っても、ある日突然何も聞こえなくなるのではなく、徐々に音が不明瞭に聞き取りづらくなってきて、気づいた時にはかなり進行している……という場合が多い(突発性難聴というのもある)。超音波スピーカー“HyperSound”を開発した<Turtle Beach>の代表・マーシャル氏も、40歳で難聴であると診断されたという。

「全く聞こえないわけではない。聞こえていても、何を言っているのか内容を理解できないことが問題なのです」と語る同氏。しかし、HyperSoundは超音波で音を発するので、例えば難聴の人でも音をはっきり聞くことができ、両スピーカーに対してジャストの位置にいれば、まるでヘッドホンをしているかのような臨場感を味わえるらしい。

その“スイート・スポット”では、特に障害物がなければ7メートル以上離れていても音が衰えることはないという。しかも、スポットを外れれば体感音量はかなり減衰し、かすかに聞こえる程度になるので近所への迷惑を気にする必要もない、というわけだ。

ひとつ問題があるとすれば、低域がほとんど聞こえないという点だろう。超高域の再生力は極めて高いが、そこは超音波。重低音の迫力サウンドは期待できないようだ。とはいえ、そもそも難聴の問題は、音の内容が聞きとれないことである。高域がはっきりと聞こえれば、言葉ならば特に、内容を理解することはできるだろう。

なお、犬をはじめとする動物への超音波の影響だが、自身で犬を飼っているというマーシャル氏いわく、このスピーカーの帯域は動物への影響はほとんどないとのことで、「犬に“うるさくない?” って聞いてみても、なんてことなさそうに僕の方を見るよ」とジョーク混じりに証言している。

http://www.wired.com/2016/05/ultrasound-speakers-can-help-people-hearing-loss/