DCコミックの2大ヒーローが激突する『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が、日本でも3月25日から公開中だ。その音楽を、名作曲家ハンス・ジマーと共に担当しているのがジャンキーXLという男である。

彼はオランダ出身で、本名をトム・ホーケンバーグという。“ジャンキーXL”という印象的な名前を、音楽フェスやDJイベントで目にした人も少なくないだろう。彼はもともとロックとダンスミュージックを融合させた音楽性で知られるアーティストで、そのジャンルの第一人者でもある。

活動初期はバンドでプレイしていたこともあったものの、一見すると映画音楽とは縁の無いキャリアに思える。しかし、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『デッドプール』といった大ヒット作の音楽も手がける、現代のハリウッドには欠かせない超重要人物なのだ。その劇的なキャリアの変化と活躍っぷりの裏には、一体どんな経緯があったのだろうか?

まずきっかけは、ウェズリー・スナイプス主演の吸血鬼映画『ブレイド』(1998年)のオープニングで、自身の曲が流れるのを聴いたときに受けた衝撃だったという。「映像作品の中で音楽が機能する様に改めて驚いた。僕が今後やりたいのはこれだ、と確信したんだ」

そう決心したホーケンバーグは映画音楽を勉強するため、2002年にロサンゼルスに移住。そこで<ナイキ>のCM音楽のリミックスを手がけ、世界的なヒットさせる。しかも、これが映画『オーシャンズ・イレブン』(2001年)で使用され、映画音楽の世界へ徐々に近づいていくのだが、映画音楽作家への道はまだ遠かった。

しかし、その努力が『ダークナイト』(2008年)で知られる気鋭の作曲家ハンス・ジマーの目に止まり、憧れの業界へ一気に足を踏み入れることになる。『インセプション』(2010年)のサントラに1曲リミックス参加したところ、あまりにもジマーとの相性がよかったため、このコラボはそのまま『ダークナイト ライジング』(2012年)、『マン・オブ・スティール』(2013年)へと発展。ジマーは当時を振り返り「ひどいギターフレーズがあって苦労していたら、トムがギターを手に取り、すぐさまかっこいいサウンドにしてしまった」と語っている。

ホーケンバーグとのコラボに大満足したジマーは、続いて『300 〈スリーハンドレッド〉 ~帝国の進撃~』『アメイジング・スパイダーマン2』のサントラチームにも彼を抜擢し、これによって“ジャンキーXL”という名は映画音楽作曲家として一気に知名度を得ることとなった。そしてその直後、彼のキャリアを決定づける『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の音楽を担当することに。この混沌とした作品で、彼はその持ち味を活かし切ったと言えるだろう。なお、次に控えているのはハリウッド版『ゴジラ』の続編だとか。

「エンジニア、プロデューサー、ミキサー、バンド、リミックス……音楽にまつわることなら何でもやってきたよ。でも今、僕が言えるのは、映画音楽は業界の中でも最も大変で、やりがいのある仕事だね」

『ブレイド』の衝撃から18年。いまや映画音楽シーンの顔の一人となったジャンキーXLほど、劇的なキャリアを歩んできたアーティストはいないだろう。

http://www.wired.com/2016/03/junkie-xl-batman-v-superman/
http://wwws.warnerbros.co.jp/batmanvssuperman/