当時15歳だったジェニファー・コネリーのみずみずしさと輝きも素晴らしかったが、やはり『ラビリンス/魔王の迷宮』(1986年)といえば、怪しい魅力と強烈なメイクで魔王を演じたデヴィッド・ボウイ。音楽はもちろんのこと、映画の世界でも俳優として鮮烈な印象を残してきたボウイが演じる魔王は、今でも多くの人々の記憶に焼き付いている。

先日、世界中に惜しまれながらこの世を去ったボウイを追悼する意味も込めて、<CineFix>による「『ラビリンス』について、あなたが知らないであろう9つのこと」を紹介したい。同作を観たことがなくても、この裏エピソードはきっと楽しめるはずだし、今後ぜひ観てもらいたい名作だ。

1. ボウイ以外にも魔王役の候補がいた!? しかもすごいビッグネーム……
ボウイが演じたゴブリンの魔王、ジャレス。あの中性的で危険な匂いのするキャラクターは、ボウイだからこそ成立したのは間違いない。しかし、実は監督ジム・ヘンソンおよび製作陣は当初、スティング(偉大なミュージシャンにして、役者としてのキャリアも有名)、そして、なんとマイケル・ジャクソンも候補に挙げていたらしい。もしボウイがオファーを受けなかったら、全く違う映画になっていたことは間違いない。

2. ゴブリンたちの“マジックダンス”はどうやって撮影したのか?
監督のヘンソンは「マペット」や「セサミストリート」といった人気番組を手がけてきた超有名パペット操作師でもある。『ラビリンス』の“マジックダンス”シーンに登場するゴブリンたちの数は、なんと48体! 操作師は52~53人という大掛かりなシーンで、床や壁から操作師が操っているため、撮影が終わるとセット中がスイスチーズのように穴だらけになったとか。そのうえ8~12人もの小人たちが飛び回るカットもあり、人力でハーネスを引っ張って上げたり下げたりする、という実にアナログな方法で行われていた。きっと撮影後のスタッフたちは汗だくだったことだろう。

3. 赤ちゃんの声は、なんとボウイがあてていた!?
ジェニファー演じる主人公サラの弟、トビーの声はボウイのものだった! とはいっても劇中の声ではなく、サウンドトラックに収録されている楽曲「マジックダンス」なのでご安心を。当初はコーラスメンバーのお子さんの声を録音する予定だったのだが、なかなか泣いてくれず録音できなかったため、結局ボウイの提案で彼が赤ちゃんの声を全て務めてしまったのだとか。うーん芸達者!

4. ジャレスの“玉”の秘密
玉……と言ってもあの“タマ”ではなく、彼が持っている水晶球のこと。あれをスイスイと操るには当然かなりのテクニックが必要で、器用なボウイもさすがに無理だった。というわけで、本物のジャグラーを呼んで全て演じさせたそうだ。ジャグラーはデビットの足元に座って下から手を出したり、背中から手を回したり……。体を密着させているので全く手元が見えず、相手がボウイということでドキドキしてしまったのか、スゴ腕のジャグラーでもかなり苦戦したそうだ。それでもボウイはイライラすることもなく、むしろ楽しんでいる様子だったとか。やはり寛大でカッコいい男である。

5. 映画としては世界初! フル・コンピューターグラフィックの生き物
ジム・ヘンソン監督のもと、パペット技術を駆使した映画として有名だが、実は世界で初めてCGで描いた生き物(クリーチャー)を使用した映画ということは、あまり知られていないだろう。キャストのクレジットが流れる、フクロウが飛び回る冒頭のシーンなのだが、いま見てもなかなか良くできている。

6. 犬の“マーリン”にシープドッグを選んだ理由とは?
飼い犬のマーリンはオールド・イングリッシュ・シープドッグという犬種。モップのようなモコモコの毛がかわいいが、当時としてはそこまでポピュラーな犬ではなかった。実は、マーリンの登場するシーンで絶対にパペットを代役に使わなくてはならない場面があると想定していたため、なるべくパペットで作りやすい犬種を選んだのだ。

7. 知ったらハラハラしちゃう……!? 赤ちゃんトビーの迷宮シーンは特撮ナシ
当時の技術としてはかなり高度な特撮シーンが登場するが、ヘンソン監督は「トビーの迷宮シーンだけは実際のセットで撮影したい」とこだわった。高い塔の上を歩くシーンなどを、合成ナシで撮影しようと考えていたのだ。ただ、外部の子役に頼むにはリスクがありすぎるしギャラも高額というわけで、同作のコンセプチュアルデザイナーであるフラウ氏の息子、トビーくんが抜擢されたのだとか。しかし、壁の上のシーンだけはフラウ夫妻も賛成できず、監督の「塔の上のシーンはスタッフ総出で待機させるから!」という提案にも断固反対したため、撮影は見送られたそうだ。トビーが穴の上で座っているシーンに映る迷宮、あれは鏡の反射を利用しているのでご安心を。

8. 最重要スタッフのアート作品を起用しなかったトホホな理由とは?
物語序盤、サラの部屋の中のファンタジー本や迷路のおもちゃなどが映る、『ラビリンス』を象徴する重要なシークエンスがある。ところが、同作の世界観の生みの親であるフラウ氏の作品が登場しない。フラウ氏の役割を考えると使用されて当然なのだが、実は監督がすっかり忘れていただけらしい……。もし小道具に採用していたら、件の迷宮シーンに息子を差し出してくれていたかも?

9. 迷宮案内人ホグルは、最先端のアニマトロニクス技術を駆使したキャラクター
迷宮案内人のホグルは、女優シャリ・ワイザーと、5人がかりで操作する表情の連携で複雑な動きを実現している。頭部の表情豊かな動きは、当時としては最先端のアニマトロニクス技術が導入されており、ヘンソンが追求していたパペット技術の粋を集めたものだった。やたらとCGを使わなくても、これほどまでにリアルで奥行きのある動きができる。それをよく分かっているのが、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のJ.J.エイブラムスである。


http://www.blameitonthevoices.com/2016/01/9-things-you-didnt-know-about-labyrinth.html