激動のスニーカー史に名を残すエポックメイキング・モデルから“本物の個性”を探るシリーズの第3回目(第1回第2回)。最後に紹介するのは、スポーツギアからファッションアイテム、そしてスタイルを主張するためのツールへと進化を遂げたスニーカーが、苦悩を強いられることになる「’00年代以降」です。売り上げの低迷するスニーカーシーンの中で生まれたエポックメイキング・モデルとはいかに? 今回も東京を代表するスニーカーショップ『atmos』にご指南いただきました。

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スニーカーの低迷期を打破した復刻モデルと第2次ハイテクモデル

’00年代は、スニーカーシーンにとって不遇の時代でした。ITバブルの崩壊やリーマン・ショックによる経済の低迷が影響したことはもちろん、ファッションシーンではディオールやドルチェ&ガッバーナといったモードブランドが台頭してきたことで、スニーカーの評価が低迷します。若者たちはよりトレンド性の高いブーツやレザーシューズを支持し、スニーカーもモードブランドのものが主流となりました。

そんな停滞するシーンで、悩み抜いたスポーツメーカーが出した答えは、名作モデルの復刻でした。’90年代にスニーカーを購入していた世代が30~40歳を迎え、経済的に余裕ができたことで、レトロモデルを懐古的な感覚で購入するようになります。そうした時代のニーズに応えたヒットモデルがナイキの『DUNK HI』や『AIR FORCE 1』、アディダスの『SUPERSTAR』や『CAMPUS』でした。

また一方で、マーケットがお洒落に対して機能性を求めたことにより、第2次ハイテクブームが到来していた時代でもありました。’90年代との大きな違いは、男性だけでなく女性にも受け入れられたという点。アパレルのようなサイズ展開でスニーカーの新しい選び方を提示したナイキの『AIR PRESTO』が爆発的にヒットしたことは、その代表例といえるでしょう。機能面のイノベーションは、このカテゴリーで進展していきました。

NIKE SPORTSWEAR
AIR PRESTO
2000年

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“スニーカーをTシャツのようにカジュアルに楽しむ”という斬新なコンセプトで、シーンにイノベーションを巻き起こした一足。S・M・Lといった洋服と同じサイズ展開を実現させるために、4方向に伸縮する機能素材「ダイナミックストレッチメッシュ」を使用しました。

また、これまでとは一線を画す豊富なカラーバリエーションを用意し、今ではすっかりお馴染みのカスタムメイドサービス「NIKE ID」を初めて取り入れるなど、多様化する消費者の感性によりフィットさせようという数々の新しい試みが実行された点も見逃せません。

NIKE SPORTSWEAR
AIR MAX 360
2006年

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『AIR MAX』を開発する初期段階で既に考案されていたという360度「AIR」を具現化したモデルです。フォーム素材を一切使用せず、エアユニットだけでミッドソールを構成するというナイキの悲願を達成させたという意味でも、重要な一足と言えるでしょう。

メンズモデルとレディースモデルで、エアバック内部の圧力を変えて製造することにより、より最適なクッション性が得られるように計算されています。

NIKE SPORTWEAR
FLYKNIT LUNAR 1
2012年

3

多くのパーツを縫製する従来の製造法と一線を画し、1本の糸だけで生地を編み込んでいくという革新的な製造法を初めて採用したモデル。この新しいテクノロジー(フライニット)により、スニーカーを靴底と上部の2パーツのみで構成することが可能になりました。製造工程で発生する素材のロスを大幅に削減でき、スニーカー業界を悩ましてきた環境問題を解決した点においても画期的です。

まるで第2の皮膚のように機能するフライニットは、靴下のような履き心地を実現してくれます。

Reebok CLASSIC
FURYLITE
2015年

4

第2回目でも紹介したリーボックの歴史的名作『INSTAPUMP FURY』のDNAを受け継ぐモデルです。アイコンとなった「ポンプテクノロジー」は取りはずされましたが、「エアチェンバー」の意匠は残され、『INSTAPUMP FURY』の特徴的なフォルムを踏襲しています。

ミッドソールとアウトソールが一体となった「3D ULTRALITE SOLE」が、より軽い履き心地を実現。レトロモデルの再評価と進化するテクノロジーという’00年代以降の2大トレンドを上手に融合させた一足となっています。

※第1回
「時代を切り拓いた名作スニーカーたちに宿る、本物の個性:第1回:’70~’80年代」
※第2回
時代を切り拓いた名作スニーカーたちに宿る、本物の個性:第2回:’90年代

■協力ショップ

5
atmos Flagship Store(アトモス フラッグシップストア)

住所 東京都渋谷区神宮前6-23-2
電話 03-6427-6366
営業時間 12:00~20:00
定休日 不定休