<バドワイザー>が公開したスーパーボウル用のCMが、まるでドナルド・トランプ大統領の移民政策を批判しているような内容だと話題になっている。

badowaisa

2017年2月5日(日本時間2月6日)に米テキサス州ヒューストンで開催される「NFLスーパーボウル」に合わせて、ビール世界大手の<バドワイザー>が同社の起源をテーマにしたCMを発表した。

同社の創業者のひとりとして知られるドイツ系アメリカ移民のアドルファス・ブッシュ(Adolphus Busch)氏は、1800年代にドイツから米ミズーリ州セントルイスに渡り<アンハイザー・ブッシュ>社を設立。「Born the Hard Way」(苦労の多い人生に生まれて)と名付けられたこのCMは、ブッシュが“キング・オブ・ビール”になる夢を追う姿を描いている。

ブッシュが隣り合わせた男性に「この辺りの生まれじゃないね?」と話しかけられるシーンから始まる、ショートドキュメンタリーのようなこのCM。次に映し出されるのは、アメリカへと向かう過酷な船旅の様子。「なぜドイツを離れるんだ?」と聞かれた彼は「ビールを作りたいんだ」と、つぶやくように答える。

アメリカに到着してからは、現地の人々に「お前なんか要らねえんだよ!」「国へ帰れ!」とディスられ、その後も乗っている船が沈没したりと苦労の多い日々を送るブッシュ。しかし、ようやく辿り着いたミズーリ州セントルイスで、初老の男性にビールを振る舞われる。CMの冒頭で出自を尋ねてきた、あの男性だ。

ブッシュは礼を言いつつ、「でも次に飲むのはこのビールだ」と自身の構想を伝えると、男性は「エーベルハルト・アンハイザーだ」と名乗る。彼こそ、後に<アンハイザー・ブッシュ>社を共に設立することになるアンハイザーだったのである……。

 

ニュースサイト<Vox>は、このCMには「国旗を振るような愛国心」の歴史が描かれており、<バドワイザー>のビールを“アメリカらしいもの”として「改めて訴求している」と解説している。まあ、同社は2008年にベルギーの飲料会社インベブに買収されているのだが。

ともあれ、2017年の「NFLスーパーボウル」CMは、トランプ大統領が中東やアフリカの7カ国からの入国禁止を命じた直後のタイミングで行われる。政治的な問題に触れるCMを避ける企業が多いようだが、アメリカ最大の建材会社<84ランバー>のスーパーボウルCMなどは、バドワイザーとは比べ物にならないほど直接的だ。

幼い娘と共に荒野を旅するメキシコ人女性を描いたこのCMには、なんとトランプ大統領が本気で建設を宣言した“メキシコ国境の壁”がドドンと登場。さすがに保守TV局(FOX)には放送を拒否されたようだが、同社の本気度が伝わってくる感動的な大作CMとなっている。

チップスを頬張りながらビールを飲んでNFLに盛り上がるようなアメリカ人の多くはトランプに投票した人たち……というのは偏見だが、多額のスポット費用を要する国民的イベントのCM枠で堂々と意思を表明する企業には称賛を贈りたい。

 

http://www.superbowlcommercials.co/best-commercials/2017-super-bowl-commercials-we-cant-wait-to-see/

http://www.vox.com/culture/2017/1/31/14453846/budweiser-super-bowl-commercial-immigration