渋谷駅から明治通りを並木橋方向に歩いて5分ほど。今年4月にオープンしたばかりの「WALDI(ワルディ)」が、野本真也氏の手がける「shinya nomoto」「bitter Brown」を取り扱うセレクトショップとして、ファッションを愛する人々を虜にしている。

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ひっそりと佇むショップの入り口。円形のドアガラスにはヴィンテージカーのヘッドライトカバーが用いられる

「野本真也」の名を聞いて、ピンときたアナタはなかなかのファッション通だ。彼は独学でファッションを学び、’90年代には東京コレクションに参加した経験を持つ東京屈指のデザイナー。また、MILKの大川ひとみ氏によっていち早くその実力を見出され、今もなお通好みなアイテムを生み出し続けている人物でもある。

オーナーの平松浩一氏は原宿にある某人気アパレルショップの元スタッフにして、野本氏が生み出す世界観に惚れ込む生粋の「shinya nomoto」ファン。好きが高じて、オリジナルショップをオープンさせるに至っている。店内には待望の新作はもちろん、過去の貴重なコレクションアイテムが並ぶのも特徴のひとつだ。

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クリーンな空間が広がる店内。奥にいるのはオーナーの平松氏

 

秀逸なウエアがラインナップされる空間もまた、野本氏がディレクションしたもの。’90年代に留学していた英国で時代の空気をともにした「Slam City Skates」発のオリジナルブランド「insane」のグラフィックデザインを手掛けたことで知られるGed Wellsアインシュタインのポスターをはじめ、オリジナルの什器や固有の金属美を放つゼロハリバートンのアルミ製アタッシュケースなどがさり気なく陳列される。

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なぜ今、「shinya nomoto」なのか? ~変わらないというイノベーション

今、野本真也氏をフィーチャーするという感性は実に深い意味合いを持っている。なぜならユニクロをはじめフォーエバー21やザラなど、合理性を重視したファストファッションがメインストリームを占める中で、デザインから縫製までほとんどの工程を自身で担うというやり方を実践しているデザイナーだから。彼が持つ職人気質の姿勢からは、まるで時が止まったかのような心地良い時空の歪みが感じられ、その事実が本能的に人を魅了しているのではないだろうか。

「僕は単に“今”という時代の中でみんなが気づかない隙間を見つけているだけなんですよ。そこに僕なりの意味を見出しているんです。ウエア以外にもスニーカーや革靴、カバンなども手がけているんですが、常に新しい試みに取り組んでいるつもりです」(野本氏)

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デザイナーの野本真也氏。モノ作りへの情熱は他のデザイナーの追随を許さない

 

服以外の様々なアイテムにも、専業のブランドやメーカーでは思いつかない斬新な思考回路が張り巡らされている。そこには「皆と同じでは嫌だ」というデザイナーとしての内的な動機が満ちあふれ、その純粋さには人を否応なしに惹きつける力が宿っているように感じられる。

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過去に野本氏が手がけたシューズたち。先端のフォルムは独特と造形美を持つ

 

「今でも小さなアトリエでミシンを踏んで製作しているんです。工場に任せられるところは任せていますが、基本は同じアイテムでもまったく同質のものは存在しない一点物です」

そう聞くと「リメイク物」というワードが頭をよぎるかもしれない。しかし、野本氏のウエアには、さらなる奥深さが潜んでいる。たとえば、ここ数年野本氏が用いているカシミア素材はヴィンテージのスコットランド製にこだわっている。ツイードに関してはヴィンテージウエアをバラして生地を使い直している。そこには服作りを心から理解し、本当に愛している人のみが到達できる境地が広がっているのだ。

いまのファッションシーンを退屈に感じているなら、ぜひ一度「WALDI」へ足を運んでみてもらいたい。洋服からほと走るパッションを体全身で感じ取ることができるはずだから。時代とともに環境に適応することがイノベーションなら、また同じように変わらないスタンスを貫くこともイノベーションのひとつの形なのだ。

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Tシャツは一枚一枚、野本氏が手刷りでプリントしている。¥6,480

 

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スウェットは手間のかか染料プリントにこだわる。各¥16,200

 

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英国のトラディショナルスタイルに独自のエッセンスを加える野本氏らしい、秀逸なアーガイル・カーディガン。¥39,960

 

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手作業による温もりを感じさせるフライトジャケット。¥51,480

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■ショップデータ

WALDI
住所:東京都渋谷区東2-18-6 松岡ビル202
電話:03-6883-5809
営業時間:12時~20時
定休日:水曜休
URL:http://www.walditokyo.com/